THE ZEN WARS

THE ZEN WARS Episode3 ~看読寮への突入~

1週間の旦過寮も終わりにさしかかると、応量器の使い方や着物の着脱、

大衣での進退も素早くできるようになってくる。

偈文もほぼ覚えてくると、若干余裕も生まれてくる。

これが気の緩みというやつだ。

普段から笑顔で暮らしていた私、誰とでも仲良くなれる私。

同日安居のやつらと、身の上話が始まる、周りから見られていることも忘れ、

話が隣の部屋に筒抜けなのも忘れ、話がはずんでしまったりもする。

そうすると、いきなりやってくるのが古参和尚なのである。

目くじらをたて、すごい剣幕でやって来るやいなや、

「なに笑ってるんだ~余裕か!?」

と問いただしてくる。凍りついたように「いいえ」と大声を張り上げるのだ。

寝る時もそうだ。やっと寝れるとき、唯一みんなで洗面所へ行けるのだ、

そして、今日あったことや明日の出来事をみんなで話したりしていると、

どこからともなくやって来るのが古参和尚。

そして、僕のもとへとやって来ては、「余裕か!?」と問いただされ、

大声で「いいえ」と答えるのだ。

どうやら、アラフォーが3人も揃ってしまったせいか。

一番余裕そうに見える私は、狙われているらしかった。

旦過寮を終え、明日、看読寮へ上がる我々は、

「お前、明日、待ってっから!」と告げられ、夜の帳を迎えるのであった。

とはいえ、年齢が一回り以上も下の若者に、待ってると言われても・・・

脅しにならない脅しを少しだけ気にしながら、

そんなことよりも、明日の朝の進退を間違えないようにすることのほうが、心配なのでありました。

そして、いよいよ朝が来て、大禅師猊下の前でご挨拶をして、

これからの苦労に備えるための、きっとこれからは食べられないような御膳をいただき、

いざ、看読寮へ突入するのでありました。

 

そこには、今まで以上の「はい」と「いいえ」の雨霰!

全ての行動は、新倒での連帯行動。

決められた時間に決められた行動を余儀なくされ、

先ずはじめに、5日間で「鐘司指南書」という本山での全ての鐘の鳴らし方を記した資料と、

「諸資料」という、本山での月々の行事や仕事内容を記した資料を、

1文字も抜かさずに、同日安居8人全員が、それぞれのノートに書き写すという課題が与えられたのです。

もちろん、毎日の行事は行事、空いている時間のみで書き上げなくてはなりません。

そして、自分の空間と言えば、畳1畳とその前にあるカンキと言うミニタンスと、

寮内での机。これもカンキと呼ばれるが、3人で一つを使うのである。

そして、カンキでのお勉強は、もちろん正座。

脚を崩せば、否応なしに蹴りが飛んでくる。ので、正座。

更に、着物や大衣が乱れていても叱られる。身だしなみを整え正座にて、お勉強をするのである。

タイムリミットまで、あと4日!

Posted on 2009.06.21

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THE ZEN WARS Episode2  ~旦過寮への挑戦~

本山に上がり、最初の1週間は、ひたすら座禅なのである。

何時に起こされるのか、寝るのかも知らされぬまま、

暗いうちに起こされ座禅!

朝課(ちょうか)という朝のお勤めをして座禅!

食事も座禅でいただきます!

その後も旦過寮(たんがりょう)で座禅!

その間、面壁といって、壁に向かいそこに貼られてある偈文(げもん)を覚えるのである。

旦過寮での座禅以外は、食事のみ。

その食事も、応量器(おうりょうき)という全てが重なり合う、まるでマトリョーシカのような器を、

決められた作法で決められた順序で、決められた食べ方でいただき、

全員で合わせて食事を盛られ、食べ始め食べ終わるというもの。

はじめは一回の食事で1時間もかかってしまうので、食べるどころか脚が痛い!

もちろん、作法を間違えたり、音を立ててしまうと怒鳴られるのは言うまでもない。

やっと食事が終ると、また旦過寮で面壁なのである。

1週間の間に、7つの偈文といくつかの唱えごとを暗記しなければならない。

覚えなければ、その後にどんな恐怖が待ち受けているのか・・・・・

ちなみに朝ごはんを小食(しょうじき)、昼食を点心(てんじん)、夕食を薬石(やくせき)という。

朝はお粥のみ、これを粥(しゅく)という。点心と薬石は、お米と味噌汁に2品のおかずがつくのである。

驚いたのは、一汁一菜だとばかり思っていたのが、おかずが2品もついて、しかも思いのほか美味しいのである。

とはいえ、お腹いっぱいになるはずもなく、それより何より脚が痛いのであることに間違いはない。

日は立ち、4日もすると、作法も覚え素早く的確に食事ができるようになる。

そんなころに、偈文のチェックが始まるのだ。

覚えていないものが当てられた日には、、、、、、恐怖が続くのは日常茶飯事。

そして、四六時中の座禅で、脚は痛みMAX。

返事もMAX。

あたりが暗くなり、もう何時か分からなくなってきて、膝の痛みもMAXのころ、

古参(こさん)が入ってきて寝る場所へ案内されやっと寝ることができるのだ。

 

古参が入ってくるときが一番の恐怖なのである!

これは、どんなに態度のでかい者でも、恐怖を感じるであろう。いや絶対感じる。

これは似ている、あの時のあの状況に、、、、、、

盛岡一高に入学し、教室にロンゲで汚い制服に身を包んだ応援団がいきなり入ってきて、

全員を罵倒し、「イス」の声一色にしたときに・・・・・・

いまは、それがハゲ血気盛んは坊さんになり、返事が「ハイ」と「イイエ」になっただけなのだ!

 

そして、その時はじめて、僕が狙われていることに気づくのであった・・・・・・・・続く

Posted on 2009.06.03

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THE ZEN WARS Episode 1 ~修行僧の誕生~

去年の3月3日

思えば、大本山總持寺の門を叩いたのである。

まずは、安下処というところで一泊し、心構えを教わる。

その戸を開くところから既に修行(闘い)は始まっている。

開いたら開いたで、「勝手に開けるな」を言われる。

入れていただいた後も、「古参の目を見るな」と言われる。

そして、返事は「はい」か「いいえ」の最大限の大声で言うように言われる。

中に入っても、正座と合掌で返事をするように言われる。

それからは、何時間たったのかは定かではないが、「はい」と「いいえ」のオンパレードである。

膝はとうに限界に達し、声もすでに枯れている。

そんななかで、いろいろな作法を教わるのであるが、

それも明日本当に上山するための、単なる前夜祭なのである。

その日は、いつになったら眠れるのだろうかという不安でイッパイになりながらも、

頭の中は、明日のことでイッパイなのであった。

だが、寝る準備がすむと、古参は一変し、明日から始まる修行への壮行として、

タバコや菓子を振舞ってくれるのだ、まあ、これが最後のタバコであり菓子であるわけだから・・・

翌朝は、何時に起きたかも定かではないが、とにかく起き、

緊張と不安のなかで、上げ手巾に手甲脚絆姿になり、草鞋を履き、網笠を持ち、

三門をくぐり、待鳳館前で木版を三打し、待つこと2時間・・・・

やっと中に入って・・・・・・・

MAX声の連打と作法の教授の始まり・・・・・・

そして、本当の地獄はここから始まったのであった・・・・・・・・続く

 

Posted on 2009.05.28

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