戯れ言
THE ZEN WARS Episode 6 ~看読寮の修羅場~
看読寮は、修行僧のいろはを叩き込む場所である。
鐘司もそのうちのひとつであり、全てでは無い。
我々新倒は、基本的に「はい」か「いいえ」をMAX声で返事することを命ぜられる。
しかも、人の話を聞くときは、合掌。
そして、相手の目を見てはいけないのだ。
さらに勉強をするためにカンキという戸棚を使うのだが、
そこではもちろん正座を強いられる。
ノートを書くにも正座。少し休むにも正座。
カンキは、約80CM幅の戸棚で上段、中断、下段がある。
上段には衣服などを、中段にはすぐに使う作務衣や大衣をしまう。
引き出しに勉強道具などをしまい、下段は開けておくのが鉄則だ。
しかも、そのカンキ。そのひとつを2~3人で使うのだ。
縦に3分の1のスペースを整頓しながら使う。
僕は、左がウメちゃん、右がコウゲンだったが、
ウメちゃんの荷物が崩れ落ちてきて、いつも修復するのに大変だったりもした。
まあ、まだ20歳の子供だからいいかなどとも思ったりするが、
もう20歳なのであるから、整理整頓ぐらいしてもらいたものだとも思ったりもする。
看読寮へ入って、初めのうちは、ノートの書き写しがメインであり、
それが終わっても、浄人という食事給仕係や水頭という掃除準備係の役をあてがわれるので、
まだまだ本当の辛さは味あわない。
が、そんな中でも自分や仲間たちが、いろいろと「けちらす」わけで、
なんなら、ケチラシまくっているわけで、
その反省を、夜にみんなでするのである。
これを「着座」といい、だいたい7時過ぎぐらいから始まる。
新倒全員が寮内で二手に分かれて対面に座り、人数が多くなれば各側2列にも連なる。
そして、全員が衣儀を整え、畳の縁に合わせて座る。もちろん正座。
普段は、法界定印であるが、人の話を聞くとき、いわゆる誰かが反省を述べているときは、
合掌して聞くのである。
その日、自分がケチラシテしまったことは、必ず皆の前で反省しなくてはならない。
古参和尚さんに口宣(くせん:指導)をいただくときももちろんだが、
質問されて答えられるまでも合掌が続く。
例えば、明日の法要の差定(さじょう:式次第のこと)を覚えている者と言われたら、
覚えている者は、合掌して「はい」と返事をする。(そろってMAX声)
その中から、誰か指名され、答えを述べる。もちろんMAX声。
途中に噛んだりしたりすると、初めから言いなおさなくてはならない。
忘れたりしようものなら、そこから御両尊となる。
御両尊・・・・・それは、はるかに厳しい。
御両尊・・・・・それは、はるかに辛い。
御両尊・・・・・正座をして合掌したまま、上半身を前に45度まで傾けて静止するのである。
覚えていなかったものは、既に御両尊をさせられているので、
かれこれ5分~10分は経っているであろう。
もし、カミカミな奴が指名されようものなら、まだまだ終わる気配はない。
やっと言い終え、身体を起こすと、着座は1時間を超え、2時間に達しようとしているし、
結局、御両尊は20分近くしていたことにもなったりする。
並んでいる者の中には、膝の痛みで悶絶する者も増え、
御両尊で背筋が悲鳴を上げ、全身痙攣している者もいたりするのは、日常茶飯事でもある。
そんな夜が来るのを、我々は只只恐れながら待つ毎日なのである。
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